Linux 学習環境の作り方|WSL2とVPS、LPIC合格はどっちで勉強する?

Linux

どーも!

marusukeです!

「Linuxを勉強しよう」と思ったとき、最初にぶつかるのが 「そもそも、どこでLinuxを動かして練習すればいいの?」 という問題ですよね。

私もLPICの勉強を始めたとき、まさにここで止まりました。

選択肢としてよく出てくるのが WSL2(Windowsの中で動かす無料のLinux)と VPS(ネット上に借りる本物のLinuxサーバー)の2つです。

この記事では、LPIC合格を目指す目線で「WSL2だけでどこまで学べて、どこからVPSが必要になるのか」を、実際にWSL2で学習してきた経験と、LPICの出題範囲をもとに整理します。

結論:まずWSL2で無料で始め、壁が来たらVPSに進むのが最短

先に結論です。

LPIC-1の勉強の大半は、無料のWSL2だけで十分こなせます。 コマンド操作・シェルスクリプト・ユーザーと権限の管理・パッケージ管理あたりは、WSL2が本当に得意な領域です。お金をかけずにすぐ始められるので、まずはWSL2で動かしてみるのが最短ルートです。

ただし、勉強を進めると 「WSL2ではどうしても再現できない壁」 にぶつかります。具体的には、サーバーの起動(GRUB)、ディスクのRAIDやLVM、暗号化ストレージ、本物のネットワークとファイアウォール設定などです。ここまで来たら、月数百円〜のVPSを契約して「本物のサーバー」で練習する段階に進みます。

つまり 「無料のWSL2で始める → 壁が来たらVPSへ」 という二段ロケットが、コスパも学習効果も一番いいというのが私の結論です。WSL2の導入がまだの方は、先にこちらの記事をどうぞ。

そもそもWSL2とVPSは何が違うのか

WSL2=Windowsの中で動く無料のLinux

WSL2(Windows Subsystem for Linux 2)は、お使いのWindowsパソコンの中でLinuxを動かす仕組みです。Microsoftが公式に提供していて、無料で導入できます。

Ubuntuなどを入れれば、ターミナルからLinuxのコマンドがそのまま打てます。コマンドの動き(ユーザーランド)はほぼ本物のLinuxと同じなので、LPICのコマンド系の勉強にはこれで十分です。

VPS=ネット上の本物のLinuxサーバー

一方VPS(Virtual Private Server)は、事業者のデータセンターにある「自分専用の本物のLinuxサーバー」を月額で借りるサービスです。代表的なのはConoHa VPSやXserver VPSなどです。

VPSは本物のサーバーなので、電源を入れた瞬間の起動(GRUB)から、ディスクの構成、ネットワークの設定、外部への公開まで、WSL2では抽象化されて触れない部分を丸ごと自分で扱えます。ここがWSL2との決定的な違いです。

WSL2だけで学べること(ここはWSL2で十分)

まず安心してほしいのは、LPIC学習のかなりの部分はWSL2で完結するという点です。WSL2を不当に下げる必要はまったくありません。具体的には次のあたりです。

  • コマンド操作・シェル・パイプ・テキスト処理(grep / sed / awk / vi など)
  • シェルスクリプトの作成
  • ユーザーとグループ、パーミッション・所有権の管理(chmod / chown など)
  • パッケージ管理(apt / dpkg / yum など)
  • ソースからのビルド(configure / make)
  • コンテナ(Docker) ※ここはむしろWSL2が得意な領域です
  • SSHクライアントの利用・鍵の作成・GnuPG・SSHトンネル(LPIC 110.3 の範囲はWSL2でほぼ完結します)

このあたりは、わざわざお金を払ってVPSを借りる必要はありません。コマンドの練習をしたい方は、逆引きでまとめてあるのでこちらが便利です。

補足:「SSHを使う側(クライアント)」の知識は110.3でWSL2でも学べますが、「SSHサーバー(sshd)をきちんと設定・防御する」のはLPIC-2の212.3の範囲で、こちらは本物のサーバー=VPSが必要になります。混同しやすいので後でもう一度触れます。

WSL2では学べないこと(ここからVPSが必要)

問題はここからです。WSL2はコマンドこそ本物ですが、「カーネル・ディスク・ネットワーク」の3つの層が制限されているため、次のような勉強はWSL2だけでは難しい、または非現実的です。

  • サーバーの起動シーケンス(BIOS/UEFI → GRUB → init)、ブートローダの設定
  • RAID(mdadm)/LVM(pvcreate・vgcreate・lvcreate) の構成
  • 暗号化ストレージ(LUKS / dm-crypt)
  • 空きディスクへのパーティション作成・ファイルシステム作成の本格的な練習
  • 恒常的なネットワーク設定(インターフェース・ルーティング)、ファイアウォール
  • SSHサーバー(sshd)の本格運用・ハードニング(公開鍵認証の強制・ポート変更・fail2ban など)
  • DNS / Web / メールサーバーを実際にインターネットへ公開する練習

分かれ目は「カーネル・ディスク・ネットワーク」の3層

なぜWSL2でこれらが難しいのか。理由はシンプルで、WSL2は次の3層が抽象化・制限されているからです。

  1. 起動・カーネル層:BIOS/UEFI → GRUB → init という本物の起動がなく、カーネルも差し替え前提ではありません。
  2. ディスク層:生のディスクがなく、標準カーネルに device-mapper(dm_mod)が入っていません。このためLVM・RAID・暗号化(LUKS)が標準では動きません。技術的にはカスタムカーネルを作れば可能ですが、学習用としては非現実的です。
  3. ネットワーク層:WindowsによるNAT管理下にあり、インターフェース設定・ルーティング・ファイアウォールを実機のようには扱えません。

LPICのトピックがこの3層に踏み込むほど、WSL2では学べず VPSが必要になります。たとえばLVMやRAID、暗号化ストレージ(LUKS)やSELinux、SSHサーバーの設定とセキュリティ強化(212.3)などです。これらをVPSで実際に手を動かす手順は、順次、別記事で詳しく解説していく予定です。

LPICレベル別・WSL2でどこまで学べるか早見表

ざっくりした目安をまとめると、こうなります。

レベルWSL2でカバーできる割合の目安VPSが必要になる主な領域
LPIC-1高い(おおむね7〜8割)起動/GRUB、ディスク作成、恒常的なネットワーク設定 ※SSHクライアント/鍵(110.3)はWSL2で可
LPIC-2限定的(おおむね3〜4割)カーネル起動、ブートローダ、RAID/LVM、ネットワーク、ファイアウォール、各種サーバ公開
LPIC-3低い(コンテナ等の一部のみ)暗号化/SELinux、KVM、HAクラスタ(複数ノード)、AD混在環境

補足すると、現行のLPIC-3は 300(Mixed Environments)・303(Security)・305(Virtualization & Containerization)・306(High Availability & Storage Clusters)の4専門です(旧304は305と306に分割され引退しています)。このうち 303(Security)は1台のVPSだけでほぼ学べるので、VPS実践と一番相性が良い専門です。

LPIC-1にこれから挑戦する方は、私のLPIC合格体験記(noteの有料記事)も参考にどうぞ。

WSL2で十分な人/VPSを契約すべき人

ここまでを踏まえて、「あなたはどちらを使うべきか」を整理します。

WSL2だけで十分な人

  • これからLPIC-1の勉強を始める初心者の方
  • まずはコマンド・シェル・権限・パッケージ管理を一通り身につけたい方
  • お金をかけずに、今すぐ手を動かして始めたい方
  • Docker(コンテナ)を触ってみたい方

この段階では、無料のWSL2で全く問題ありません。むしろ最初からVPSを契約する必要はないと思います。

VPSを契約すべき人

  • LPIC-1の起動(GRUB)・ディスク作成や、LPIC-2以降に進みたい方
  • RAID・LVM・暗号化ストレージを実際に手を動かして覚えたい方
  • SSHサーバーの運用、ファイアウォール、Webサーバーの公開など「本物のサーバー管理」を経験したい方
  • インフラエンジニアを目指していて、実務に近い経験を積みたい方

このレベルになると、WSL2では再現できないので本物のサーバー=VPSが要ります。とはいえVPSは月数百円〜から始められるので、ハードルはそれほど高くありません(料金は変動するため最新の公式情報をご確認ください)。

学習用のVPSとしてよく選ばれている定番が ConoHa VPSXserver VPS です。どちらも管理画面が分かりやすく、初心者でも契約から起動まで進めやすいサービスです。実際の契約から初期設定・SSH接続までの手順は、別記事で近日詳しく解説する予定です。

ConoHa VPSとXserver VPSは料金やスペックで一長一短があります。両者を比較した記事も近日公開予定なので、迷っている方はそちらも参考にしてください。

そして、Linuxの学習を「インフラエンジニアへの転職」につなげたい方向けの学習ロードマップも、別記事で近日公開予定です。

まとめ:無料のWSL2から始めて、必要になったらVPSへ

最後にもう一度まとめます。

  • WSL2:コマンド・シェル・権限・パッケージ管理・Docker。LPIC-1の知識系はこれで十分。無料ですぐ始められる。
  • VPS:起動/GRUB、RAID/LVM/暗号化、本物のネットワークとファイアウォール、SSHサーバー運用、各種サーバ公開。LPIC-2以降と本格的な実践はこちら。
  • おすすめの進め方は 「無料のWSL2で始めて、壁が来たらVPSへ」 の二段構え。

まずはWSL2を入れて手を動かすところから始めましょう(→ WSL2のインストール手順)。そして「WSL2じゃ無理だ」という壁にぶつかったら、それはあなたが次のステップに進んだ証拠です。そのときはVPSを検討してみてください。

よいLinux学習ができることを祈っています!

以上です!

ここまで読んでいただきありがとうございました!

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